歩みが音を編み出す。身体で聴くサウンドインスタレーション。
本作は、鑑賞者の位置や歩行に応答してリアルタイムに音場が変化する音響システムを用いたサウンドインスタレーション。
空間には、特定の地点に立ったときにだけ立ち上がる“点在する音”と、移動に合わせて連続的に変化する“流動する音”が共存し、聴覚的な発見と遷移を生み出す。
日本各地で録音されたフィールドレコーディングを素材に、都市の雑踏、山間の静けさ、祭りのうねりといった環境の層を編み直し、鑑賞者の行為そのものを編集点として体験を生成する。
鑑賞者の「歩く」「止まる」という振る舞いそのものが、バラバラな環境の断片をひとつなぎの物語へと編み上げる。
- 2024
- サウンドインスタレーション
Exhibits
ART X JAPAN CONTEXT 最終作品発表・展示会
-2026
-展示
Credits
池田翔 / ラダ・プロダクション
協力:電気通信大学 羽田研究室
Awards
- 経済産業省 令和6年度補正クリエイター・エンタメスタートアップ創出事業費補助金(アート分野)(2026)
本作は、鑑賞者の位置と歩行をリアルタイムに解析し、音場を動的に生成するサウンドインスタレーションです。
空間内には、二つの対照的な音のあり方が共存しています。
1. 鑑賞者の歩みに合わせて移動する「追従する音」
鑑賞者が移動すると、音もまたその動きを追いかけるように空間内を遷移します。会場内のセンサーが鑑賞者の位置・速度を常に計測し、スピーカーから出力される音の定位を制御。
あたかも音の風景が鑑賞者と共に移動しているかのような、体験を生み出しています。
2. 特定の地点に現れる「点在する音」
鑑賞者が特定の場所に立ち止まった瞬間、特定の音が鮮明に立ち上がります。
これは、波面合成という技術を用い、多数のスピーカーを連動させて音の波を精緻に組み立て、特定のポイントにのみ音像を空間に定位させています。
鑑賞者は“歩く/止まる/わずかに身をずらす”といった行為を通じて、音場が変化していくプロセスそのものを体験します。
空間内の鑑賞者の動きをレーザー光を使用して対象物までの距離や形状を測定するLiDARセンサーで計測し、得られた位置・速度・滞在などのパラメータを音像と音場の制御へ反映しています。
音場制御の中核には波面合成(Wave Field Synthesis / WFS)を採用して複数スピーカーを制御し、音の到来方向などの音響情報を空間内に再構成することで、仮想音源の位置を“そこにあるもの”として出現させることや、歩行に合わせて連続的に移動することを試みました。
さらに、エリアごとの「点の音」には焦点音源の考え方を併用し、特定地点に入ったときのみ音像が明瞭に結像するよう波面合成の制御を用いて“発見される音”を設計しているため、ゆっくり歩けば遷移が精緻に聴き取れ、立ち止まれば局在する音が立ち上がり、少しの移動でも音響が変わります。
どう歩き、どこで立ち止まるかによって、同じ空間は毎回異なる音へと編み替わります。耳と身体で空間を確かめながら、偶然立ち上がる音の出会いと、連続的に変化する遷移の手触りをお楽しみください。